Grand Story
THE GRAND STORY #2
対談インタビュー稲墻 聡一郎 × 越智 敬之

自分の在り方を見つける
“活き人”開発プログラム
「IGNITION」

“未来を拓く最善の戦略は「活き人」で在り続けることだ”——次世代のリーダーを志す人たちを対象とした人材開発プログラム「IGNITION」は、一人ひとりが本当の在り方(Being)を見つけ進む為の機会を提供しています。

今回は、講義初日を担当する、Transform合同会社の稲墻聡一郎氏を招き、「IGNITION」の背景や目指す未来について語り合いました。

SOICHIRO INAGAKI 稲墻 聡一郎

SOICHIRO INAGAKI
稲墻 聡一郎

Transform合同会社 共同経営者

大手IT企業、ベンチャー企業役員を経て、2011年に起業。起業後すぐに人生のリセットと留学を思い立ち準備を進める。2015年から2017年まで、ロサンゼルスのクレアモント経営大学院(ドラッカー・スクール)に留学し、2017年7月に帰国。(Executive Management Program, MA in Management) 同大学院の准教授であり、セルフマネジメント理論研究の第一人者でもあるジェレミー・ハンター博士、および同大学院卒業生の藤田 勝利と一緒にセルフマネジメントをベースにしたマネジメントプログラムを提供する会社「Transform」を2018年1月に設立。 米国Human Performance Institute: Global Facilitator 長野県立大学 グローバルマネジメント学部 非常勤講師(2019年〜)

感情と感覚。“人のチカラ”を取り戻し、次の日本社会を作る

越智:今回は「IGNITION」の講師を担当いただき、ありがとうございます。簡単に、自己紹介をお願いできますか。

稲墻さん:Transform合同会社の共同経営者をしている、稲墻と言います。僕は2015年からロサンゼルスのクレアモント経営大学院(ドラッカー・スクール)に留学し、2017年7月に帰国しました。

その際に、同大学院の准教授であり、「セルフマネジメント」理論研究の第一人者でもあるジェレミー・ハンター博士、および同大学院卒業生の藤田 勝利氏と一緒にTransform合同会社を共同創業しました。主に個人と組織向けに、セルフマネジメントをベースにしたプログラムを提供しています。

越智:稲墻さんは、「IGNITION」で提供したいことを随分前から実践されている研修のプロなんです。今回お力添えいただけることを大変嬉しく思っています。まずは、「IGNITION」の背景にある課題意識から共有していけたらと思うのですが、稲墻さんはどんな部分に共感して頂いたのでしょうか?

稲墻さん:越智さんが話していることは、僕がTransformを始めたときの思いに近しいんですよ。

僕はドラッカー・スクールに留学中、日本に一時帰国して品川駅を通ると、スーツを着てスマホを見て、つまらなそうな顔した人が同じ方向に吸い込まれていくのをみて、驚いたんです。アメリカでは、自分のやりたいことを明確に持っている人に囲まれて過ごしていたから。

正直、「こんな場所(日本)には帰ってきたくない」と思ったくらい…別の言葉で表現すると、そうした人たちを生む日本社会と、自分の力では変えられない現実に憤りを感じたんですよ。

そんな中、当時僕が学んでいた「セルフマネジメント」を少しでも多くの人に知ってもらえたら、ちょっとでも変化が生まれるんじゃないか、という希望も浮かんで。大それたことではなくとも、少なからず自分の周りの人たちには、活き活きと生きてもらえるかもしれない——そう思ってTransformを立ち上げたんです。


越智 敬之 Grand Story Inc. 代表取締役CEO
1999年、早稲田大学在学中にWEB制作会社を起業。2002年、サイバーエージェント入社。デジタルマーケティングの営業プロデューサーとして大企業のデジタルシフトをサポート。2009年、博報堂にて大手消費財企業のデジタルコミュニケーション戦略を担当。2012年、株式会社AOI Pro.入社。グループデジタル戦略と事業再編プロジェクトを主管し、PMI責任者としてビジネス・アーキテクツの執行役員就任。2015年、IDOM Inc.入社。新規事業開発プロデューサーとして事業開発に従事した後、ビジネス人材採用責任者として多数の人材開発・組織開発プログラムを企画開発。2019年、次世代の社会イノベーションを担うリーダー「活き人」の育成と支援を目的に株式会社グランストーリーを創業。代表取締役CEOに就任。

越智:稲墻さんが見た彼らは、そうなりたくてなったわけじゃないですもんね。環境がそうした人たちを大量に育ててしまった。遡ると、20世紀の大量生産大量消費の時代の画一的な教育。そのほかにも要因はいくつかありますが、今や多くの人は自分にメッキのようなものを何重にも塗り、本当の気持ちを隠して働いています。僕自身、結果を出すために感情に蓋をして激しく働いていたので、よく分かります。

稲墻さん:そうじゃないと生きていけない、というのはあると思います。自分が何をやりたいか、心の声を無視して、言われたことをとにかく頑張る人が今の世の中では評価されてしまう。

越智:そうですよね。マネジメントする側にとっては、ストレス耐性の強い人は、使い勝手がいいんです。長時間働くとか、基本はNOとは言わないとか。

稲墻さん:でも、本来感じている違和感を見ないフリし続けると、不感症になってしまいます。何をすれば自分がワクワクするのか、分からなくなる。僕も「人生をリセットしよう」と思って留学に出た40歳までは、分かりませんでした。それに、感情を無視して努力してきたから、未だに自分の感情を出すのは苦手なんです。

越智:分かります。僕も同じく37歳の時に、“このまま働き続けても生きている感覚が満たされない”と思い、自分の在り方と向き合うようになりました。気づけないまま生きていくのは、生きた心地がしませんし、活き人のように自ら物事を動かしていくほどのパワフルさも得られない。

日本の複雑で多面的な課題を解決するには、言わずもがな人のチカラが必要です。大量生産・大量消費・大量廃棄社会、都市部への人口集中・地域格差、経済・教育格差の拡大など、挙げたらキリがありません…。僕は本気でこのままの日本ではヤバい、と思っているんですよ。だから活き人が必要だと思うんです。

稲墻さん:このままでは日本社会が成り立たなくなってしまう。僕は半分諦めを感じながらも、せめて自分が関わりを持つことのできる半径5mの人たちが、活き活きと生きられるように、動けたら、と。感じている課題感はお互いに近しいと思います。

“活き人”の正解はない。問うたびに考えさせられるもの

越智:僕は「IGNITION」に参加する人たちには、「活き人」に近づいてもらえたらと願いながら、プログラムを作っています。活き人とは、“制約条件にとらわれず、あるべき姿から考え、⾼い熱量で⾏動していく人たちのこと”なのですが、稲墻さんにとってこれからの時代に必要な人とは、どんな存在だと思いますか。

稲墻さん:そうですね。僕が考えるいわゆるの「活き人」は、目指す先を見据え、自分の力で未来を変えていける人。やることとやらないことの基準がクリアな人。自分自身の感情や健康をマネジメントし、結果を出すことにエネルギーを注げる人……と、こんな感じですかね。

でも、これからの時代に必要な「活き人」とは、明確に定義できるものではないのかもしれません。一人ひとりがもつ「こんな自分でいたい」という“在り方”が、それぞれの正解ではないでしょうか。

越智:良いですね。僕もある程度伝わるように言語化しているものの、「活き人」の正解は本来ないだろうと思っています。考えるために自分たちに問うようなもの。ただ、シンプルに共通項を表現すると、“やりたいことに向かって取り組める人のこと”だとも思います。

例えば、5歳の男の子が、公園のジャングルジムに一生懸命にのぼり、頂上で「お母さん、高いところ登れたよ!」と叫んでいるのは、僕からしたら完全なる活き人なんです(笑)。義務感ではなく、自分がやりたい“なにか”に向けて、ありったけのパワーでチャレンジし、今という瞬間を活きているから。

稲墻さん:分かりますね。ちなみに、活き人になるためのプロセスはどんなイメージですか?

越智:まず1つ目は、「〜しなければいけない」といった心の囚われを手放し、内側にある感情に耳を傾け、仲間と分かち合うこと。囚われを外すことは重要なカギになると思います。

次に、心のど真ん中にあるはずの「自分らしい在り方(Being)」に気づき、常にそう在り続けること。

最後に、自分が動く先で起きていることに想像力を働かせ、自分以外の誰かの人生に寄り添い、幸せにしてあげたいという想いを大切にすること。

この3つの状態が安定的に続けば、社会に尊い意味と価値をもたらし続ける、活き人でいられるのではないか、と思いますよ。そしてそれは、満たされた充実する毎日を、当たり前に送れるようになっていくことだとも思います。「IGNITION」では、こうしたプロセスを辿れるように、さまざまな方向からアプローチできるプログラムを組みました。

モヤモヤの鎧を脱いで新しい自分へ。「IGNITION」プログラム内容

稲墻さん:あらためて、どのようなプログラム設計ですか?

越智:「IGNITION」のプログラムは、全6回です(オリエンテーション含めて7回)。稲墻さんをはじめとした、人の心に向き合うプロフェッショナルな講師の皆さんが、数時間に渡って専門的なワークを行います。最終日には、それぞれがプレゼンを行う時間も予定しています。

プログラム内容

1日目:外側(環境や周囲の他者)に対して丁寧に働きかけながら、自らの意識の向け方と感情の扱い方を体感的に理解するセルフマネジメントのプログラム
講師:稲墻 聡一郎

2日目:演劇的アプローチによるシアターワーク。自らの身体的な特性を客観的に認識し、表現力を最大化する身体知の扱い方を学ぶ
講師:小木戸 利光

3日目:社会課題に主体的に取り組む為の、本質的な視座・視点・課題の本質を見出す考え方を学ぶ
講師:坂本 文武

4日目:チームで協働的に取り組むコレクティブインパクトの在り方を身体的・直感的なプロセスを通じて学ぶ
講師:山崎 繭加

5日目:頭と言葉だけに支配されず、身体知を取り入れた「心を動かすプレゼンテーション」の方法を実践的に学ぶ
講師:小木戸 利光

6日目:全員参加で行う最終プレゼンテーション・修了式
ナビゲーター:越智 敬之

対象者:
– 大企業やスタートアップで経営・新規事業・オープンイノベーション・組織改革に関わる方
– 部下や仲間との意思疎通をよりスムーズにすることでリーダーシップ能力を高めたい方
– 内発的な欲求(Being)を探求することで自己実現に向かうきっかけを探している方
– 自らの殻を破り、人生の可能性を広げたい方
– 社会課題や地域振興に関心や興味はあるが行動シフトまでには至っていない方
– 自らの主体的な意見や行動をいかんなく発揮し、影響レベルを高めたい方
– 想いと共感で繋がり、互いに高めあえる仲間を増やしたい方

IGNITION公式ページより引用)

越智:僕は今こそ、日本全体が本来のクリエイティビティを取り戻し、未来のビジョンから逆算した、変革が必要だと思っています。ちょっと大げさかもしれませんが、今の日本の状態のままでは、この社会・国を創るために命を燃やしてきた全ての先人たちに顔向けができません。自分たちの世代が、少しでも良い未来を次世代にバトンタッチし、この国に希望ある物語を、あるべき新しい社会システムを残すことにチャレンジし続けたいのです。

きっと最初は小さな一石でも、それがだんだんと波紋のように広がって、やがては社会を大きく変えるほどのうねりになると信じています。僕は、日本を変える最初のきっかけを作るため、何を言われようが諦めないつもりです。

稲墻さん:自分の感情を切り離す毎日に違和感をもっている人、意思をもって行動できるように変わりたい人、参加してもらえたら嬉しいですね。

越智:そうですね。モヤモヤは“可能性に対する違和感”。つまり、心で「本当はこんな私じゃない」と思っている証拠なんです。だからこそ、今モヤモヤを感じている人は、新しい自分に向かって一歩踏み出すためのきっかけに「IGNITION」を使ってください。未来の日本を担う“活き人”のみなさんとひとりでも多くご一緒できることを楽しみにしています!

企画・インタビュー・編集:水玉綾 / 執筆:柏木まなみ / 撮影:戸谷信博

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